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2024.05.15

【今さら聞けないNMNの話】若返りに効果があるって本当?

近年、若返りや美容に効果があるとして注目を集めている「NMN」。
みなさんはその効能について正しく理解できていますか?
「なんとなくわかったつもりでいたけど、実は詳しく知らない…」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、化粧品マーケティングに携わる上で必ず知っておきたい「NMN」について、基礎から説明していきます!

NMNとは?

NMN

NMNは、ビタミンB群の中に含まれる成分で、正式名称は「ニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide mononucleotide)」です。NMNは、人や生物の体内に元々ある物質で、臓器・組織を修復する上で重要な役割を果たしています。しかし、NMNの生産量は年齢を重ねるとともに減少し、その結果、身体機能や認知機能の老化が進むと考えられています。そこで近年、加齢とともに減少するNMNを体外から摂取することで抗老化効果が期待できるとして、NMNが注目を集めています。

NAD+

では、NMNはどのようにして抗老化効果を発揮するのでしょうか。

NMNは、そのままの形で体内に吸収されるわけではありません。NMNは摂取後、体内でNAD+(正式名称:ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質に変換されます。NAD+は、私たちが食事などで摂取した栄養をミトコンドリアでATP(アデノシン三リン酸)に変換する際に必要となる物質です。ATPは、例えるならば電気のようなものです。電気がテレビを付ける、電球を点灯させるなどあらゆる電化製品の動力源であるのと同様に、ATPは私たちの体のあらゆる活動に必要となるエネルギーの供給源なのです。

加齢と共にミトコンドリアの働きが衰え、ATPが不足すると、身体に様々な不調があらわれます。しかし、ミトコンドリアの活性化に必要なNAD+は経口摂取することができません。そこで、前駆体であるNMNを摂取することにより、身体機能が正常に作用し老化現象を遅らせることができると考えられています。

サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)

さらに、NAD+には、生物の老化や寿命を制御している「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」を活性化させる効果があります。現在、哺乳類には7種類のサーチュイン遺伝子があるとされていますが、NAD+はそのすべてを活性化させることが分かっています。
サーチュイン遺伝子を活性化させることで、さまざまな老化現象の改善が期待できます。

▽サーチュイン遺伝子の活性化により改善が期待される症状(一部)
認知機能低下
運動機能障害
免疫機能低下
視力低下
難聴
脂肪肝
がん
肥満
心血管疾患
糖尿病
腎機能障害
不妊

つまり、肌細胞・体力・疲労など全身の身体機能を改善する効果のあるサーチュイン遺伝子を活性化させるために不可欠となるのがNAD+であり、NAD+を増やすためにはNMNの摂取が効果的であるということです。

画像

NMNの摂取方法

NMNの摂取方法のメリット・デメリットをご紹介します。

食品

NMNは食品の中では、枝豆・アボカド・トマト・ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれています。しかし、厚生労働省が推奨する摂取量である「1日250mg」を満たすには、アボカドやトマトは600個、ブロッコリー4,000個の摂取が必要となるため、食事だけで十分な量を摂取することは難しいです。

点滴

点滴は直接体内にNMNを投与するため、他の摂取方法よりも早く効果を実感できるとともに、血液によってNMNが全身に運ばれるため、全身で効果を実感することができます。ただし、NMNの投与は美容目的であっても医療行為とみなされるため、美容サロン等での施術は出来ず、点滴を受けられるのはクリニックのみに限定されています。

サプリメント

サプリメントは点滴と比較すると体内に吸収される量は少なくなりますが、比較的簡単に入手でき、手軽にNMNを摂取することができます。なお、NMNサプリメントの中には、NMNの純度が低い粗悪品も存在するため、きちんと効果の得られる製品を選ぶことが重要です。

化粧品

通常、サプリメント等で摂取した栄養は、血液や脳、筋肉など生きるために必要な部分から消費されていくため、肌や髪に栄養が届くのは一番最後になってしまいます。そこで、化粧品を使うことで、肌や髪にピンポイントでNMNを届けることができます。ただし、点滴やサプリメントと比較すると吸収できるNMNの量は少ないでしょう。

NMN配合化粧品

NMNを配合した化粧品はまだ少ないですが、近年では美容液やシートマスク、化粧水などのスキンケア製品を中心に、NMNを配合した化粧品が発売され始めています。

NMN配合化粧品を使用することで、肌に対して、以下のような効果を期待できます。

・シワやたるみの改善
肌のシワやたるみの一因として、コラーゲンやエラスチンの減少が考えられます。NMNの摂取によりNAD+が増加すると、体内でコラーゲンやエラスチンの生成を促進することができます。これにより、肌の弾力性が改善し、シワやたるみを改善する効果が期待できます。

同じくシワ改善成分として有名なものにナイアシンアミドがありますが、NMNはナイアシンアミドの上位互換であると言われているんです。ナイアシンアミドは、2段階の酵素反応を経てNAD+ に変換されるところ、NMNは直接NAD+に変換されるため、より効率的にNAD+を増やすことができるといえます。

・シミや色素沈着
メラニンは、肌を保護するために必要な物質ですが、過剰に生成されるとシミや色素沈着を引き起こす可能性があります。NMNはNAD+を増加させることにより、メラニンの生成を調整することができます。そのため、メラニンの増加により引き起こされるシミや色素沈着を改善させる効果が期待できます。

NMNの副作用・課題

NMNの副作用

NMNには現時点で副作用やデメリットは確認されていません。NMN自体が元々体内に存在する物質であるため、摂取により体に悪影響を与える可能性は低いと考えられます。
ただし、NMNは比較的新しい成分で臨床実験数が未だ少ないため、安全性や副作用等には不明な部分も多く、将来的な影響がないと断言することはできません。

NMN市場の課題

若返りが期待できるとして、美容意識の高い層を中心に注目を集めているNMNですが、市場には十分な効果を期待できない粗悪品も多く存在することも事実です。実際に、世界のNMN市場に流通している製品のうち、約7割が偽物だといわれています。原材料が1kgあたり25~30万円ほどと高価なため、NMNの純度が低い製品を販売している業者も多く存在するようです。

日本では2015年ごろから認知され始めた新しい成分であるNMNですが、NMNを使用した製品の品質が担保されていないこと、原材料が高価なため製品自体の価格も高くなってしまうことが、現状の課題と言えそうです。