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2024.08.19

これからは動画の時代~化粧品とデジタル動画広告の展望~

「化粧品ブランドマーケティング担当者のためになる話」では、運営会社WTCの社員が、それぞれの専門分野のノウハウや最新トレンドを発信する企画を進めています!第4弾となる今回は、WTCのアナリストSがデジタル動画広告について解説します!

はじめに

インターネット広告がますます増えてきている中、従来の静止画の広告だけではなく動画広告もよく目にするようになってきました。この傾向は化粧品業界においても例外ではありません。広告はどのように変化してきているのでしょうか?
本noteでは、化粧品を動画で広告するメリットや実際の事例、さらに動画広告をどこに出稿するべきか迷った時のために、InstagramとTikTokそれぞれのユーザー心理の秘密についてお伝えしていきます!

化粧品を動画で広告するメリット

動画広告は化粧品業界とどういった点で相性がいいのでしょうか?化粧品を動画で広告するメリットについてお伝えします。

まず、ユーザーに訴求しやすいというメリットがあります。動画と静止画とでは伝えられる情報量に圧倒的な差があります。人間の情報源のうち視覚情報と聴覚情報だけで93%を占めます。動画は視覚と聴覚両方にアプローチすることができるため、単純なテキストと写真だけの静止画と比較すると、5,000倍の情報量を伝えることができます。動画の良い点は情報量が多いことだけではなく、長文のテキストよりも視聴ハードルが下がる傾向もあるため、より多くのユーザーの目に入りやすいという特徴があります。

商品のテクスチャー・色見や実際の使い方を直感的に伝えることができるのも動画広告ならではのメリットです。ユーザーは自分がその商品を使っている様子をイメージしやすくなります。

SNSデジタル広告事例(媒体ごとの動画広告の方向性)

ここでは化粧品の広告に適した代表的な媒体の特徴と事例について1つずつ紹介します。

Instagram

インスタでは精度の高いターゲティングが可能で、ストーリーやリールなど幅広い形式で広告を出稿することができます。化粧品の広告でよく見かけるのが、タイアップ投稿です。THECOOの「SNS利用とインフルエンサーに関する意識調査」*¹によると、「企業とインフルエンサーのタイアップであるPR投稿・ブランドタイアップ投稿を見たことがあるか」という質問に対し、23.3%が「ある」と回答しました。その回答者に対して「インフルエンサーのPR投稿・ブランドタイアップ投稿を見て商品・サービスを購入・利用したことはあるか」と質問すると、「ある」と回答した人は31.3%にのぼりました。
*¹THECOO「SNS利用とインフルエンサーに関する意識調査」2022年8月 全国の男女1,000名を対象

インフルエンサーとのタイアップを積極的に行っているブランドの一つにmaybellineがあります。美しい顔のインフルエンサーが製品をただ紹介するという広告もありますが、動画の冒頭でファンデーションを顔全体に厚塗りしたり、「食べれるリップ」と言ったりと、最初の数秒で驚きや違和感を与えて目を離せなくするような創意工夫のなされた広告も多く出されています。

https://www.instagram.com/reel/CubtqpmRgs_

https://www.instagram.com/reel/CxfTHmHLooG

これらのインフルエンサーとのタイアップ投稿では、投稿がインフルエンサーのフォロワーにしか表示されないことや、投稿から直接購入サイトへ移動することができないというデメリットがあります。これらを解決するのが第三者配信による広告手法です。第三者配信では広告管理画面を通じて配信を行うため、通常の広告配信の際と同じターゲティングを使用できます。また、「購入する」のバナーを画面下部に表示できるため、ユーザーを直接購入サイトへ誘導することができます。

スマホ画面上でのタイアップ投稿と第三者配信投稿の違いは以下の画像の通りです。どちらも同じインフルエンサーが同じ商材を宣伝していますが、投稿の仕方により表示画面にも違いが出てきます。

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TikTok

TikTokではインスタと同様に、インフルエンサーに製品を紹介して貰う広告が多く見受けられます。しかしながらインスタのいわゆる“キラキラ感”をあまり感じない点が異なります。撮影も家の中で、部屋着、すっぴんからのメイクを行うなどより“リアル”に近いため、自分が商品を使う場面をイメージしやすいことが特徴です。

また、単に製品のテクスチャや使用方法、良い点を紹介するだけでなくインフルエンサーが日常に溶け込ませたように見せて商品をサラッと紹介するネイティブアド風動画が多く見受けられます。事例として以下にロート製薬メラノCCの広告を挙げます。

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これら全てに共通しているのはストーリー仕立てになっているということです。キャプションに「#PR」がついているので広告であると分かりますが、分かっていてもストーリーの続きが気になって、最後まで見たくなってしまいます。数十秒という短い時間の中でストーリーを展開できるという動画広告ならではの利点を最大限に生かした広告が多く見受けられました。

このように面白い動画が多い点がTik Tokの動画広告の特徴ですが、これは広告主が、実際にターゲットにあり得るシチュエーションを見せて「TikTokでやっていたことを自分もやってみよう」と少しでも行動に移させることを意図しているからだと考えられます。インスタは「ご教示していただく=お手本」、TikTokは「これならやれる=見本」のような認識があるのではないでしょうか。

YouTube

Youtubeでは動画コンテンツの前後やコンテンツの外側など様々な形式で動画広告を出すことができます。ブランドのコンセプトを伝える上品で洗練された動画広告から、あえてYoutuberが作成したような字幕のつけ方で親しみを感じて貰う動画まで幅広く広告を出稿することが可能です。

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こちらのepais アイラッシュエッセンシャルセラムのPR案件は、オーガニックで再生するか、もしくは上の写真のように「スポンサー」と表示されているのをユーザーがクリックすることでしか再生されない仕組みになっています。それにも関わらず動画が出されてからわずか3カ月で2万回も再生されています。(2024年8月19日現在)

実際に中身を見てみると、詳細な商品紹介が行われています。ここでも分かることは広告物のクリエイティブには「専門性」と「少しのアイデア(面白味)」と「丁寧な見せ方」が必要であると分析できます。

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しっかり競合比較とその中での優位性を抽出し、それをどうターゲットに楽しく見てもらえるか。ターゲットを熟知して展開する必要があります。

また、Youtubeでは一般的な横長形式の動画に加えて、ショート動画(縦長の動画のフォーマット)のコンテンツも近年急速に拡充しています。2023年に「デマンドジェネレーション広告」(1つのキャンペーンでショート動画を含むYouTubeやGoogleアプリ、GmailといったGoogleの各アプリに配信ができるプロダクト)がリリースされましたが、これはショート動画形式の配信に対応しており、従来の長尺の動画と組み合わせた戦略にも使うことができます。