みなさんは「韓方(ハンバン)」という言葉を聞いたことがありますか?美容大国韓国で古くからの歴史がある韓方ですが、健康やダイエットだけでなく美容にも効果があり、韓方の考えを取り入れた化粧品が多く発売されています。韓国から韓方に基づいた化粧品が上陸したり、日本の化粧品メーカーでも韓方の素材と同じ成分のものを取り入れた化粧品が開発されたりと、いま注目すべき医学です。今回はそんな韓方の基礎知識から日本の化粧品に使われている韓方の素材まで、韓方の情報をたっぷりとお伝えします。
目次
韓方とは?
韓方(韓方医学)は、韓国の伝統医学の一形態で、中国の伝統医学にルーツを持つ医療形態です。中国の伝統医学が、日本に伝わり独自に発展したものが「漢方」で、韓国で独自に発展したものが「韓方」です。韓方医学は、美容の分野でも多くの利点があり、韓国では古くから美容と健康を保つために広く利用されてきました。
韓方の歴史
韓方(韓国伝統医学)は、数千年にわたる韓国の歴史と文化の中で発展してきた医療体系です。韓方の歴史は、三国時代に遡ることができます。この時期には、漢方医学の知識が韓国に伝わり、徐々に韓国固有の医療体系が形成されてゆき、李氏朝鮮時代になると、国家によって体系的に整備されました。
韓方を語るうえで欠かせないのが、ドラマにも度々なっている「ホ・ジュン」という人物です。庶民から王の主治医にまで上り詰めたホ・ジュンは、「東医宝鑑」という医学書を編纂し、これは東アジア全体で広く使用されるようになりました。2015年には、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、韓医学の教科書として現在でも読まれています。
韓国の近代化とともに、西洋医学の影響を受けつつも、韓方医学はその独自性を維持し続けました。現代においても、韓国の医療体系の中で確固たる地位を占めています。
韓方独自の考え方「四象体質」
韓方にはイ・ジェマという人物によって確立された「四象体質」という考え方があります。これは問診や脈診によって人を、
・太陽人
(体格が大きい。首が太い。胸が広い。上半身ががっしりしている。腰が細い。お尻が小さい。足が弱い。下半身が虚弱な方。性格は過激でせっかちでありながら、度量が大きい。頭が良く、推進力がある。肺が大きい。肝臓が小さく、生まれつき肝臓の機能が弱い。)
・少陽人
(体格は普通。体つきは痩せている。生まれつきお尻が小さい。足が虚弱で、下半身が弱い。首は太い。胸が広い。上半身は強い。汗をあまりかく方でない。鼻筋は高い。あごはとがっている。性格は陽気。活動的で、他人をよく助けるなど、犠牲精神が強い。脾臓の機能が生まれつき丈夫で、冬でも冷たい水を好んで飲む。泌尿生殖器系統の機能は弱い。)
・太陰人
(骨格ががっちりしている。手足・耳目口鼻などが大きい。体格も大きく太っている。上半身は弱く、下半身は強い。首は短い。腰は太い。背が高い。少し動いただけでも、全身から汗がたくさん出る体質。性格は真面目で、我慢強い。肝臓が大きい。肺が小さく、生まれつき気管支系統の機能が弱い。 )
・少陰人
(体格が小さい。背も低い。比較的バランスがよくとれている。上半身より下半身の方が発達している。胸幅は狭い。お尻は大きい。腰まわりは普
通。足は太い。顔の輪郭は丸い。肌は白い方で、やわらかい。汗を多くかかない。性格は温厚で、静か。意志が固い。繊細で組織力があり、判断力が早い。泌尿生殖器系統の機能は丈夫だが、生まれつき胃腸の機能は弱い。)
という4つの体質に分ける考え方です。自分がどのタイプなのかを知ることで、体質に合う食べ物、生活習慣、逆に合わないものを判断することができます。
¹駐日韓国文化院参照
https://www.koreanculture.jp/search_news_view.php?page=93&number=1522
現代韓国社会に根付く韓方医学
現在、韓方医学は西洋医学と併用されることが多く、韓国の医療システムに組み込まれています。日本の医師は漢方の考えを取り入れることもありますが、基本的には西洋医学に基づいて診断を下します。一方で韓国には東洋医学だけで診断を下す「韓方医」が存在しており、専用の医学部もあります。韓方病院や韓方クリニックもあり、韓方薬も広く利用されています。韓方は、個々の体質や症状に合わせたオーダーメイドの治療を提供することで知られ、慢性疾患や生活習慣病の管理、予防医療に強みを持っています。
韓方と美容の関係
韓方は体内のバランスを整えることを重視し、美容に関しても多くの影響を与えています。
「薬食同源」
「薬食同源」という言葉がある韓方では、身体によい食材を日頃から取り入れることが健康と美容につながると考えられています。韓方の薬草や食事療法を通じて、健康バランスを整えることが美肌や健康な髪に繋がると考えられています。
毒素排出(デトックス)
韓方では、「気」の流れが重視されており、気の流れが悪くなることで、冷えや肌トラブルなど身体にさまざまな不調が現れると考えられています。そのため、気の流れを滞らせる毒素を体外へ排出する治療法が多いです。おなじみの鍼灸、カッピングや日本でも数年前から流行っているよもぎ蒸しなどは韓方のこの考え方に基づいて行われています。
美容成分としての韓方薬
韓方では肌も内臓の一部であると考えられています。一部の韓方薬は、直接美容効果がある成分としてスキンケア製品にも使用されています。たとえば、甘草や高麗人参は、肌のトーンを明るくし、抗酸化作用があるとされています。また、いまではお馴染みの成分となった「CICA」ですが、ツボクサという植物の葉や茎から抽出された「ツボクサエキス」のことで、これも韓方で使われていた素材です。身近な化粧品にも意外と韓方でよく用いられる素材が使われていることがあるので以下で詳しく解説していきます。
実は身近な化粧品にも使われている韓方素材
資生堂オイデルミン-ゆずエキス
オイデルミン エッセンスローションに含まれているゆずエキスには、抗酸化作用があり紫外線や環境汚染による肌へのダメージを軽減します。また、ヒアルロン酸の生成を促進する働きもあり、肌の弾力性とハリを保つのに役立ちます。
資生堂dプログラム-甘草カンゾウ(グリチルリチン酸ジカリウム)
dプログラムに含まれている甘草カンゾウ(グリチルリチン酸ジカリウム)には、消炎作用があり肌荒れを抑える効果が期待できます。バリア機能が弱まっている敏感肌の方に特におすすめです。
KOSEカルテHD-甘草カンゾウ(グリチルリチン酸ジカリウム)
カルテHDにも同じく甘草カンゾウが含まれています。カルテシリーズは乾燥・肌荒れに悩む敏感ゆらぎ肌のために開発されているため、肌荒れを抑える効果のある甘草カンゾウが使われています。
メゾンコーセー雪肌精―シャクヤク
雪肌精は和漢植物由来の成分を多く配合していますが、いくつかは韓方の成分と共通しています。その1つのシャクヤクには抗炎症作用や美白効果、アンチエイジング効果が期待できます。
Anuaドクダミシリーズ-ドクダミ
ドクダミを配合した化粧品のなかでいま1番知られているのがAnuaのドクダミシリーズではないでしょうか。ドクダミも韓方の成分で、生活習慣により乱れた肌のバランスを整え鎮静する働きがあります。
注目の韓方コスメ へミーレbyキムソヒョン
韓国で最もよく知られる韓方医の一人であるキムソヒョンは、三代にわたり医師という韓方名門家の出身で、元ミス・コリアでもあり、自ら韓方ハーブの研究も行っています。そんな彼女が手掛ける予約困難な韓方エステ「キム・ソヒョン エステティックプログラム」の効果を自宅で気軽に体験できる商品が「KIM SOHYUNG PINK BRIGHTENING CLEANSER(以下 ピンクブライトニングクレンザー)」です。100%天然洗浄成分のオールインワンクレンジングで、これ1つでクレンジングクリームからフォーム、パックの効果まで兼ね備えています。