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2025.12.10

急速に成長するアジアの化粧品市場からみる最新トレンド 「クリーン&サイエンス」とは 

急速な成長を見せている C-Beauty (中国コスメ)とK-Beauty(韓国コスメ)。この2つの化粧品市場がどのようにして成長していったのか、そこから考える市場が求める次のトレンドとはなにか考察します 

C-Beautyの現在 

中国コスメ市場は、経済成長に伴う若年層の消費拡大や地方都市の消費額伸長、高品質を求める風潮による高価格帯製品の消費が拡大してきています。また、美容意識の高まりやメンズコスメ市場の拡大と国産ブランドの台頭(例:花西子、Flower Knows、Judydoll)や、デジタルマーケティングの進化(例:REDやDouyinなどの口コミや広告)にも支えられ、スキンケアが中心だった過去の C-Beautyから、メイクアップにも強い C-Beautyへと変貌しており、世界第2位の市場規模を持つまで急成長しています。 

K-Beautyの現在 

韓国コスメは国内やアジア人気にとどまらず、世界的な人気となっており、輸出額ではフランス、アメリカに次いで世界3位に位置しています。特にスキンケア製品の需要が強く、若年層の「成分買い」が世界的に主流となっている今、美白やシワ改善などの機能性化粧品などの成分にこだわったスキンケア製品が非常に高い人気を誇っています。日本市場でも数年前に流行として流通して以来、一時的な流行で終わらず定着が進み、K-Beautyは流行から定番へと変貌していっています。K-Beautyを好むユーザーは美容感度が高く、口コミや成分を重視して商品を選ぶ傾向にあるため、SNSでの広告や若年層に人気のアイドルの広告起用が大きな鍵となっています。 

アジアコスメブランドの次のステージとは 

C-Beauty、K-Beauty共に華々しい成功を収めているように見える一方で、市場の拡大と多種多様なブランドの台頭による競争の激化に伴うブランドの倒産なども多くあり、市場の中で他ブランドにはない自身のブランドの揺るがない価値を持たせる製品作りが必要となってきています。 

世界的トレンド「クリーン&サイエンス」とは何か? 

昨今、環境への配慮を意識したSDGsの取り組みをはじめとし、美容へも新たな選択肢として「クリーンビューティ」が注目されています。消費者の健康志向や環境意識の高まりから、肌や地球に配慮した「クリーンビューティ」の考え方(成分の安全性、動物実験の不実施、サステナビリティなど)と、「サイエンス」科学的根拠に基づいた確かな効果を両立させる、化粧品の最新トレンドです。具体的には、バイオテクノロジーなどを活用し、自然由来の原料から科学的に効果を実証した成分を抽出・生成する技術が注目されています。 成分や製造過程を明確に開示し、消費者が安心して選択できるようにする透明化なども「クリーン&サイエンス」において重要な役割を果たしています。 

「クリーン&サイエンス」に関連するアジア市場における注目ブランド 

Dewylab 

「Dewylab」はタルクや重金属などの有害化学物質を一切含まない「ユーザーフレンドリー」、動物実験をしない「アニマルフレンドリー」、環境に配慮した包装と生産を心がけた「アースフレンドリー」をモットーにしている中国のクリーンコスメブランドで、英ケンブリッジ大学と米ペンシルベニア大学、シンガポール南洋理工大学の出身者で構成されています。クリーンコスメの原料開発から分野を超えた応用技術の基礎開発、エンジニアによる調合システムの開発、機能の検証に至る総合的な取り組みにより、商品のコア・コンピタンスにも力を入れています。 

Schwanen Garten 

韓国のクリーン&サイエンスブランドとしては「Schwanen Garten(シュバーネンガルテン)」が挙げられます。これは、科学的な抗酸化研究から生まれたクリーンビューティーブランドで、植物由来の独自成分を配合しているのが特徴です。 “Schwanen Garten”は、ドイツ語で「白鳥の庭」を意味し、変化を喜び、本来の美しさを追求する、という想いが込められています。「抗酸化・クリーン・ビーガン」をコンセプトとし、長年の抗酸化研究に基づき開発された独自の抗酸化成分「SG Antioxidant Source TM」を全ての製品に配合し、肌の潤いや透明感、エイジングケアをサポート。科学的な理論に基づいた効果的なエイジングケアを追求し続けています。無駄を省くことで低価格帯を実現させています。美容大国韓国でも、美意識の高い特に30-40代女性に人気のブランドです。 

日本の「クリーン&サイエンス」起用ブランド 

日本のクリーン&サイエンスブランドとしては、オルビスが立ち上げた新ブランド「 CLEANENCE/クリーンエンス」があげられます。 

環境に配慮したアップサイクル原料などを活用しつつ、肌への効果感や品質の安心感を追求しています。具体的には、本来捨てられるはずだった植物の副産物などを活用した製品開発を行っています。「環境にいいもの=肌に効果的なもの」となるスキンケア開発のため新ブランドが誕生しました。肌への効果感や品質の安心感とともに、環境に想いを馳せる自分自身の美意識とライフスタイルがここちよく調和する、新たなビューティの選択肢となることを目指しています。 

まとめ 

化粧品市場における中国コスメや韓国コスメの需要が高まる中、では日本の化粧品ブランドがどのようにして今後価値を創出していくのか、そのひとつの選択肢としてとりあげた「クリーン&サイエンス」という化粧品の新しい価値について取り上げました。SNSの発達や物流の成長などにより、これからは国内ではなく世界を対象に製品を作って行くことも大切です。その中で、製品の効果や成分に注目する消費者たちに「クリーン&サイエンス」という人間にも動物にも地球にも優しく、それでいて確かな効果のあるものを提供することで、混沌とする化粧品市場で他とは違う独自の価値を作ることが出来るのではないでしょうか。 

日本だけでなく世界でもまだ始まったばかりの「クリーン&サイエンス」という価値観を一足先に選択肢に入れてはいかがでしょうか。